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何年も一緒に連れ添った愛犬に老化が見られた際、散歩をさせてもよいのか気になる人もいるのではないでしょうか。足腰の弱った愛犬でも、散歩ができる状態であれば、散歩を続けることで健康維持につながります。
当記事では、老犬に散歩が必要な理由や、散歩に関する疑問への回答を紹介します。飼い主は、老犬の様子や体調の変化に合わせて適度な散歩をしなければなりません。老犬と散歩するときの注意点を確認しながら、愛犬との散歩を楽しみましょう。
1.老犬にも散歩が必要な理由とは?
老犬になるとできないことが増えるものの、無理のない範囲で運動を続けることは重要です。若いときと比較して、自ら散歩に行きたがることは少なくなるため、愛犬のペースに合わせてゆっくり歩くとよいでしょう。ここでは、老犬にも散歩が必要な理由を3つ説明します。
1-1.運動機能の衰えを予防するため
老犬は、筋力が落ちたり関節が硬くなったりと、少しずつ運動機能が低下します。体を動かさないままだと、運動機能の衰えるペースが加速し、歩行自体が困難になる恐れがあります。若いときと同じペースや距離を歩けないとしても、できる範囲でゆっくりと散歩を続けることが重要です。
また、散歩をして体を動かすと血行がよくなるため、食事から摂取した栄養を全体に運ぶことができます。老犬の散歩は、運動機能の衰えを防止し、健康な体づくりをサポートする効果が期待できると言えるでしょう。
1-2.愛犬の健康状態を確認するため
散歩は、愛犬の健康状態の変化を確認できる大切な時間です。排便・排尿の状態や排泄物をチェックすることで、病気の疑いに気付く飼い主も少なくありません。また、犬は後ろ足から衰えるケースが多い傾向にあります。外の広い道を歩くことで、足を引きずっていないか、まっすぐ歩けているかを確認できるでしょう。
室内では気付きにくい老化現象として、視力の衰えが挙げられます。慣れた室内ではスムーズに歩けていても、外に出たら障害物をうまく避けられない場合は、視力が低下している可能性があるため注意が必要です。
1-3.リフレッシュにつなげるため
家の中でじっと生活することの多くなる老犬にとって、散歩はいいリフレッシュになります。身体機能の衰えによって活動量が少なくなる老犬は、家で過ごす毎日にストレスを抱える恐れがあります。また、好きだった遊びに興味がなくなり、脳への刺激が少なくなるケースも少なくありません。
散歩をして外の匂いや音、空気に触れれば、脳の活性化につながります。特に、大好きな飼い主との散歩は、愛犬にとって若いときと変わらず充実した楽しい時間です。脳を活性化し、リフレッシュできる点から、老犬にとって散歩は重要です。
2.老犬の散歩に関するよくある疑問6つと回答!
老犬の散歩は、愛犬が若かったときと比較するとさまざまな面で配慮が必要となります。散歩に対する愛犬の心身の変化に、「この散歩方法は合っているのか」と疑問が生まれることもめずらしくありません。ここでは、老犬の散歩に関するよくある疑問と回答を6つ紹介します。
2-1.どれぐらいの距離を散歩させればいいですか?
愛犬の犬種や体の大きさによって、どれぐらいの距離を散歩させたほうがよいかは異なります。トイプードルやチワワ、シーズーなどの小型犬は1日に30分程度、柴犬やビーグルなどの中型犬は1日に30分〜1時間程度が目安です。ラブラドールレトリバーなどの大型犬になると、ゆっくりと1〜2時間かけて長い距離を歩くことをおすすめします。
老犬だと30分の散歩に耐えられず、10分程度の散歩で十分な場合も多くあります。基本的には愛犬の様子を観察しながら、1日に散歩する時間や距離を飼い主が調整しましょう。
2-2.散歩前の準備は必要ですか?
老犬にとって、急な運動は心臓や足などに大きな負担がかかります。家を出る前に、体調が良好なことをしっかり確認した上で、散歩へ出かけましょう。また、関節の曲げ伸ばしを行ったり、室内で歩かせたりと、軽いマッサージやストレッチを行って体を慣らしておくのもおすすめです。
散歩の途中で愛犬が体調不良や疲れを見せたときには、時間や距離、コースを調整しましょう。階段や坂、砂利の少ない道、車通りが少なく休みながらゆっくり歩ける道など、老犬でも歩きやすい散歩コースを事前にチェックしておくと安心です。
2-3.夏や冬に散歩するのは大丈夫ですか?
老犬になると、体温調整機能も衰えます。夏は気温が高く、熱中症を引き起こす恐れがあるため、早朝や夕方など涼しい時間帯に散歩しましょう。また、日中の強い日差しで熱くなったアスファルトで火傷しないよう、肉球をケアすることも大切です。
冬は室内と外の気温差が激しく、いきなり散歩に出かけると心臓に大きな負担がかかります。冬に老犬を散歩させるときは、部屋から廊下、廊下から外など、少しずつ体を寒さに慣れさせましょう。犬用の洋服を着せて体温の低下を防ぐことも防寒対策になります。
2-4.散歩中に気を付けるべきことはありますか?
散歩の途中で帰ろうとしたり、階段を嫌がったりする際は、無理に散歩を続けないようにしましょう。散歩の途中で帰ろうとしたときは、まず足の痛みや体調の変化がないか確かめてください。体の変化が見られない場合は、愛犬のペースに合わせて散歩を続けます。犬が立ち止まったら軽くリードを引いて合図したり、おやつをあげたりして、前に進めるようサポートすることが大切です。
階段を嫌がるときは、上りだけでも挑戦するように促しましょう。足の衰えが原因で階段の上り下りを嫌がる老犬もいますが、階段を上ることは脚力のトレーニングにつながります。何度挑戦しても階段を上らないときは、段差や坂道の少ない場所を散歩コースに加えてみてください。
2-5.散歩に行きたがらない場合はどうすればいいですか?
愛犬が散歩を嫌がる場合は、無理に行かせる必要はありません。ただし、数日にわたって散歩に行きたがらないのなら、病気や怪我をしている可能性があるため注意が必要です。愛犬の体や様子に異常がないか確認し、気になることがあれば動物病院に相談するようにしてください。
心身に異常がなければ、無理のない範囲で外に連れ出し、リフレッシュさせるとよいでしょう。道を歩くことを嫌がる場合は、玄関先や庭で外の環境に触れるだけでも十分な気分転換になります。愛犬に外の雰囲気を感じてもらい、散歩の楽しさを思い出してもらうことが重要です。
2-6.歩けない場合はどうすればいいですか?
自分で歩けない状態の老犬には、ハーネスやカートなどの補助用品を使って外に出させてあげる方法が効果的です。老化によって愛犬が歩けなくなった際、散歩を遠ざける飼い主は少なくありません。しかし、外部からの情報は脳の活性化につながるため、自力歩行でなくてもできる散歩にチャレンジするのがおすすめです。
後ろ足の衰えのみが気になるときは、ハーネスで歩行補助を行うとよいでしょう。足に全く力が入らない場合は、犬用カートに乗せて散歩したり、柔らかいマットなどを敷いて日向ぼっこをしたりするだけでも構いません。その日の体調に合わせて、無理のない範囲で愛犬の散歩場所を選びましょう。
3.老犬と散歩に行くときの注意点2選
老犬と散歩に行くときに注意したいのは、以下の2点です。
・歩くペースは老犬に合わせる
散歩中は老犬のペースに合わせて歩きましょう。老犬は、若いときと比較して疲れやすいため、歩くスピードや距離、時間などを適切に調整しなければなりません。疲れている様子なら、短い距離でも休憩を取ったり、早めに帰宅したりすることも必要です。また、子どもや他の犬と一緒のときは、体力の劣る老犬に負担がかかっていないか注意しながら散歩しましょう。
・緊急時を想定した持ち物を用意する
老犬は喉が乾きやすいため夏の散歩には水分補給用の給水ボトルを、冬の散歩には寒さに備えて防寒用の服を用意しましょう。その日によって体調が変化しやすい老犬は、散歩の途中で急に具合が悪くなることもあります。短時間の散歩であっても、緊急時に動物病院や家族へ連絡できる携帯電話と移動のための交通費を持っておくと安心です。
老犬に無理は禁物です。また、散歩中に不測の事態が起こる可能性もゼロではありません。万が一に備えた上で、できる範囲で散歩を楽しむようにしてください。
まとめ
身体機能の衰えから老犬自身が散歩を嫌がるため、散歩をやめてしまう飼い主は少なくありません。若いときと同じ距離や時間を歩くことはできませんが、老犬になっても散歩で得られる心身への刺激は非常に重要です。
愛犬に少しでも長生きしてほしいと思う人は、犬のペースに合わせた散歩を日常に取り入れ、無理のない運動量で外の世界と触れ合えるようサポートしましょう。少しでも元気な愛犬と散歩に行きたい方は、こちらもチェックしてみてください。
【記事執筆者】ACCAPI®×SOZO®編集部|ペットがいつまでも健康で、家族みんなの毎日が豊かになるように。本コラムでは、愛犬の健康や散歩に関する情報をお届けしています。
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