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老犬がご飯を食べない5つの理由|対処法と意識したいポイント

長い時間をともに過ごしてきた愛犬がご飯を食べなくなると心配になるのは、飼い主として自然なことです。元気になってほしい一心で、「若いころと同じようにご飯を食べさせたい」と願う人は少なくないでしょう。老犬が徐々に食事量を減らしたり突然食べなくなったりするのにはいくつか理由があり、対処によって状況の改善や悪化を防止できる場合があります。

当記事では、老犬がご飯を食べなくなる理由と対処法、ご飯を食べないときに意識するとよいポイントを解説します。愛犬の状態に合わせて、よりよいサポートを行ってください。

 

1.老犬がご飯を食べない理由とは?それぞれの対処法も

老犬がご飯を食べなくなる現象には、「食べる量が減るパターン」と「突然食べなくなるパターン」の2つが挙げられます。愛犬の状態がどちらに当てはまるのかによって、食べなくなっている理由の推測が可能です。

ここでは、老犬がご飯を食べない際に考えられる理由を5つ紹介します。愛犬の様子からご飯を食べない理由を探り、対策を講じましょう。

 

1-1.基礎代謝が落ちているため

犬も人間と同じで、健康体であっても加齢とともに基礎代謝が落ちていきます。基礎代謝と同時に筋肉量や運動量、消化器官の機能も低下することで次第に食欲が落ち、さらなる身体機能の低下を招く場合がほとんどです。

<対処法>

筋肉量は基礎代謝や運動量、食欲に大きく影響します。そのため、筋肉を作るタンパク質や必須アミノ酸を多く含んだ栄養価の高い食事を与え、筋肉を維持するように心がけましょう。特にタンパク質は、犬にとって重要な栄養素です。また、丈夫な足腰を作るために、コラーゲンやグルコサミン、コンドロイチンなどを食事に取り入れるのもおすすめです。

食べる量が減っている場合、無理に適正量を食べさせる必要はありません。無理に多く食べさせることで肥満や内臓への負担増大などにつながり、かえって健康を害する可能性もあります。食べきれる量を適量与えるようにしましょう。

 

1-2.味覚や嗅覚が衰えているため

味覚や嗅覚も加齢に伴って衰えます。味覚や嗅覚が衰えると目の前の食べ物に興味をそそられず、実際に食べてみても味を感じにくくなるため、よく食べていたご飯であっても食べなくなることがあります。

<対処法>

味覚や嗅覚の衰えによる食欲不振を疑う場合、衰えた味覚や嗅覚に働きかける工夫をすると効果的です。ご飯を温めると香りが立ちやすくなり、嗅覚をより刺激します。

また、ご飯の食感に変化をつけると食いつきがよくなることもあります。食べごたえを持たせたい場合は半生タイプ、柔らかくしたい場合はドライフードをふやかしたり粉末タイプのフードを活用したりするとよいでしょう。粉末のフードは流動食状に柔らかくすることも可能です。

 

1-3.ストレスが溜まっているため

犬の食欲はストレスが原因で落ちることがあります。特に老犬になると、若い成犬と比べてストレスに弱くなる傾向があります。生活環境の変化や飼い主とのコミュニケーション不足などは犬のストレスにつながりやすいため、生活の中で思い当たる節があればストレスを疑ってみましょう。

<対処法>

ストレスが原因の場合、飼い主と離れる時間を減らしたりスキンシップを取ったりするなど、愛犬のストレス解消に努める必要があります。

ただし、愛犬とコミュニケーションを取る際、構いすぎないように注意しましょう。構いすぎると「愛犬が不安を感じる」「飼い主と離れるのが余計に辛く感じる」など、かえってストレスが増す場合があります。なるべく普段通りの生活から大きくかけ離れない程度にコミュニケーションを取ることが大切です。

 

1-4.病気になっている可能性があるため

急にご飯を食べなくなった上に、「元気がない」「下痢や嘔吐が見られる」などの場合は病気が疑われます。特に水分も口にしない場合は注意が必要です。内臓疾患だけでなく、歯周病や口内炎などの口腔トラブルの場合も、犬がご飯を口にしなくなることがあります。

<対処法>

病気は早期発見が非常に大切です。日頃から愛犬の様子を見ておき、病気が疑われる場合や明らかに元気がない場合は早めに動物病院に相談しましょう。体力をつけさせようと無理にご飯を与えると、かえって症状が悪化する恐れがあるため注意が必要です。

下痢や嘔吐などがある場合は、落ち着いて便や吐瀉物の様子を観察・記録しておくと、診察時の重要な手がかりになります。うまく説明できる自信がない場合は、スマホなどで写真を撮っておくと獣医師に病状を正確に伝えやすくなります。

 

1-5.食の好みが変わっているため

病気の症状が見られないのに愛犬が突然食べなくなった場合は、食の好みが変わっている可能性を考えましょう。市販のフードだけでなく、手作りのご飯を与えている場合は、特定の食材を食べなくなっているケースもあります。

<対処法>

食の好みが変わっている場合は、いつもと違うご飯を与えて愛犬の好みを探るとよいでしょう。新しいご飯を与えるときには、これまで食べていたご飯に少しずつ混ぜると警戒されにくいため、スムーズに切り替えが進みやすくなります。

ご飯を切り替える際にも、食べないからといって無理に食べさせる必要はありません。食べない場合は、ご飯を出してから一定時間経過したら片付けましょう。一度出したご飯の放置や保存は衛生管理上よくないため、処分することをおすすめします。

 

2.老犬がご飯を食べないときに意識したいポイント4つ

老犬がご飯を食べなくなると心配になるのは家族として当然ですが、心配のあまり飼い主が適切な判断を下すのが難しくなることもあるでしょう。対処する際には落ち着いて4つのポイントを意識することが重要です。ここでは、意識すべきポイントの詳細を解説します。

 

2-1.食事回数は愛犬のペースに合わせる

犬の食事は一般的に1日2回と言われていますが、3回、4回と増やしても構いません。老犬の場合、病気などの特別な理由がなくとも1回に食べきれる食事量が減少します。

食べる量が減ったことを心配して無理やり多量のご飯を食べさせても、効果が見込めない上に、体調不良を招く場合もあります。1回の食事量よりも、食事の回数を増やして栄養を補うほうが効果的なケースもあるでしょう。

 

2-2.愛犬がご飯を食べやすい環境を整える

老犬は筋肉量の減少に伴って食べる量が減るだけではなく、「食事の姿勢を保つ」「飲み込む」といった食事を摂るための行動そのものが辛くなる場合があります。愛犬がご飯を食べやすくなるように、環境面からサポートすることも大切です。

食事の姿勢をサポートするためには、食器台を使って高さを出したり、角度のついた食器を使ったりすると有効です。取っ手つきの器で、飼い主が愛犬の口にご飯を近づける方法もあります。ご飯が飲み込みにくい場合は、食後に体をさすってから寝かせると喉から胃に食べ物がスムーズに流れ、食後の嘔吐を予防できます。

 

2-3.おやつばかり与えすぎない

市販のおやつは栄養面より味を重視して作られているため、犬の食いつきはよいものの栄養バランスが整っているとは言えません。特に食事の量が減っている場合、よく食べてくれるからといっておやつばかり与えないようにしましょう。おやつで栄養バランスが偏ると、病気やカロリーの摂りすぎによる肥満を招き、老犬の健康に悪影響を及ぼします。おいしいおやつの味を覚えてご飯を食べなくなると、栄養バランスがより悪化することもあります。

また、おやつに含まれる添加物は肝臓など愛犬の体にダメージを与える恐れがあるため、注意が必要です。

 

2-4.寝たきりの場合はより配慮が必要になる

愛犬が寝たきりで介護が必要な場合、誤嚥しないように注意しましょう。寝たままではなく、可能な限り体を起こして食べさせると誤飲を予防できます。体を起こす際は、頭を上げて食道から胃までが真っすぐになるように姿勢を取らせると、寝たきりの犬でもご飯を食べやすくなります。

食事の時間以外にはマッサージなどのケアを施すのがおすすめです。全身をマッサージすることで愛犬の血行がよくなり、食欲増進につながります。寝返りをうたせてあげるのも効果的です。ただし、消化不良を防ぐために食前食後の1時間はマッサージなどを行わないようにしましょう。

 

まとめ

加齢による体力低下や病気などは、老犬の食欲低下を招く原因となります。食べる量が落ちた場合、心配であっても無理に多くご飯を与えると体に負担がかかります。「食事の回数を増やす」「マッサージを行う」など、1回の食事量だけでなく生活全般にわたって配慮しましょう。そばにいる飼い主だからこそ、日常的にペットの体調管理をする「ペットメディケーション®」意識することが大切です。

病気が疑われる場合は、自己判断で済ませずに動物病院を受診するようにしてください。日頃から様子をよく見ておくと、愛犬の現状に寄り添った対処がしやすくなります。体に衰えがある場合、姿勢を保てるようサポートすると、愛犬が楽に食事できるようになります。特に愛犬が寝たきりの場合は誤嚥する恐れもあるため、入念なサポートが必要です。

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