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老犬が立てない原因と対処法を解説|起こりうる体調不良まとめ

「飼っている老犬が立てなくなってしまった」そんな状況に不安を感じていませんか?

愛犬が突然立てなくなると、飼い主としてどうすれば良いか戸惑いますよね。

本記事では、老犬が立てなくなる原因や対処法についてわかりやすく解説します。さらに、立てなくなった際に考えられるトラブルや予防策、老犬に見られる体調変化のサインも紹介します。

 

1.老犬が立てないときに考えられる原因

老犬が立てなくなった場合に考えられる原因はいくつかあります。本章では、主な8つの原因について紹介します。

老犬が立てないときに考えられる原因

・筋力が低下しているから

・関節が痛むから

・椎間板ヘルニアを発症しているから

・脳の病気を発症しているから

・心臓の病気を発症しているから

・呼吸器の病気を発症しているから

・ケガをしているから

・てんかん発作を起こしているから

 

1-1.筋力が低下しているから

犬も人間と同じように、年齢を重ねると筋力が低下します。特に後ろ足の筋肉が衰えると、踏ん張る力が弱まり、立つことが難しくなります。

 

1-2.関節が痛むから

関節の摩擦を抑える軟骨がすり減ると、体を動かす度に関節に痛みが生じ、立ち上がったり歩いたりするのを嫌がるようになります。

長時間寝たままになったり、食欲が低下したりすることもあるため、注意が必要です。

 

1-3.椎間板ヘルニアを発症しているから

軟骨がすり減ると椎間板ヘルニアを発症しやすくなります。

椎間板ヘルニアは脊髄が圧迫されて麻痺と痛みが発生する病気で、足が麻痺すると立てなくなる場合があります。特に、腰の部分に痛みが生じやすいと言われています。

椎間板ヘルニアは、遺伝的に発症しやすい犬種があります。

椎間板ヘルニアを発症しやすい主な犬種

・ミニチュア・ダックスフンド

・ビーグル

・フレンチ・ブルドッグ

・ペキニーズ

・シーズー

愛犬がこれらの犬種に当てはまり、かつ立てなくなっているときは椎間板ヘルニアの可能性も考慮しましょう。

 

1-4.脳の病気を発症しているから

犬は加齢に伴う免疫力の低下によって、腫瘍ができやすくなったり病気を発病しやすくなる場合もあります。脳腫瘍・脳炎になると神経の異常をきたし、震え、痙攣、異常行動などが起こり、思うように体を動かせなくなることがあります。

脳腫瘍の場合は初期症状が現れない場合が多いものの、病状が進行するとくるくると回り続ける、首をガクッと傾けるなどの症状が出ることがあります。

 

1-5.心臓の病気を発症しているから

心臓病の発症も、立てなくなる理由の一つとして考えられます。

老化に伴う心臓の筋力が低下すると、全身に血液が行き渡らず貧血やチアノーゼ(血液中の酸素の不足が原因で、皮膚が青っぽく変色する症状)が発症し、立てなくなります。

また、心臓病の1つに「僧帽弁閉鎖不全症」があります。この病気は、症状が重くなると心発作を起こして倒れてしまう可能性があります。さらに、固まった血が血管に詰まり血流を途絶えさせてしまう「血栓塞栓症」になると、血流が途絶えて足の感覚がなくなり、立てなくなる場合もあります。

 

1-6.呼吸器の病気を発症しているから

肺炎や肺水腫など、呼吸器の病気も立てなくなる原因になり得ます。肺炎や肺水腫になると肺から取り込んだ酸素を血液に送れなくなり、貧血と同じ状態になって全身の機能が低下して立てなくなります。

 

1-7.ケガをしているから

骨折、脱臼、靭帯の損傷などのケガをしていると、物理的に立てなくなったり、強い痛みのために立つのを嫌がる場合もあります。

「立てなくなっているのは、老化に伴う病気だ」と決めつけず、ケガの可能性も考慮する必要があります。

 

1-8.てんかん発作を起こしているから

脳腫瘍や腎不全などの病気が原因で、てんかん発作が起こることがあります。この発作により、麻痺が発生し、一時的に立てなくなる場合もあります。

犬のてんかんについて詳しく知り、予防・対処に役立てたい方は、コラム「老犬が歯ぎしりをする理由3つ|注意したい「てんかん」の詳細も」をご覧ください。

 

2.立てない時はすぐ動物病院を受診すべき?

動物は本能的に自身の体調不良を隠そうとします。そのため、立てない状態になった段階で緊急度が高い可能性があり、急いで受診する必要があります。

愛犬が立てないときは次のチェックポイントをまとめておくと、受診時に獣医師にスムーズに症状を伝えられます。

犬が立てないときにチェックしておくべきポイント

・意識状態:愛犬がどの程度意識があるか

・呼吸状態:呼吸が荒い、または弱いかどうか

・足の感覚:足を触ったり押したりして、感覚があるかどうか

 

2-1.動物病院での検査は主に3種類

動物病院での検査は、以下の3つに大別されます。それぞれの検査内容を理解しておくと安心です。

問診・身体検査、血液検査、画像検査それぞれの検査内容

検査方法 内容
問診・身体検査 初めに行われる検査で、大まかな緊急度、重症度の目安もつけて治療の方針が決められる。応急処置が行われる場合もある。
血液検査 血液を採取して血中の酸素濃度や病原菌を調べ、症状の原因を調べる。
画像検査 体内の様子を調べる。レントゲン検査や超音波検査などが行われる。

検査にかかる費用は、受診する病院や症状によって異なります。気になる場合はかかりつけの獣医師に症状を伝える際に、検査にかかるおおよその費用を確認することをおすすめします。

 

3.動物病院の受診以外にできること

愛犬が立てなくなったとき、動物病院での診察以外に飼い主ができることもあります。以下の4つの方法を実践して、愛犬の回復をサポートしましょう。

動物病院の受診以外にできる4つのこと

・軽い運動をさせる

・リハビリを行う

・不足する栄養素を補うサプリメントを与える

・食物繊維の豊富な食事を与える

それぞれについて、詳しく解説します。

 

3-1.軽い運動をさせる

筋力低下が原因で立てない場合、軽い運動が筋力強化につながる可能性があります。ただし、無理な運動はケガの原因になるため、無理のない範囲で少しずつ歩かせるようにしましょう。

歩行をサポートするグッズをつければ、立って歩けるようになって筋力をつけられる可能性が高まります。例えば、ACCAPI®×SOZO®の「EQTペット用ネックバンド」は、首に巻くだけで効果を発揮します。

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3-2.リハビリを行う

椎間板ヘルニアなどで神経に異常をきたしている場合は、リハビリによって症状が改善することがあります。

リハビリは足の曲げ伸ばしを行うストレッチと歩行の介助が中心で、基本的には動物病院で行われます。飼い主が自宅で行う場合は、獣医師に正しいやり方を指導してもらってください。

 

3-3.不足する栄養素を補うサプリメントを与える

サプリメントは、愛犬の健康を維持し、立てなくなる原因となる病気の予防に役立ちます。特に、脳や心臓の健康をサポートするサプリメントが効果的です。

また、犬は立ち上がれなくなると排泄のときに踏ん張れないため便秘になる場合があります。この場合は、整腸剤を与えると便が適度に柔らかくなって排出しやすくなります。

サプリメントには様々な種類があります。愛犬の健康状態に合ったものを選ぶためにも、与える前に獣医師へ相談することが大切です。

 

3-4.食物繊維の豊富な食事を与える

犬は立てなくなると消化が進みにくくなり、便秘になる可能性が高まります。便通を良くするために、食物繊維を豊富に含む食べ物を与えることが効果的です。

食物繊維は水分を保ち、便を柔らかくするだけでなく、腸内細菌のバランスを整え、便通を促進する働きもあります。野菜や食物繊維が多く含まれるドッグフードを積極的に取り入れましょう。

 

4.立てないとどうなる?起こりうるトラブル

もし老犬が立てなくなって、いわゆる「寝たきり」状態になると、以下3つのトラブルが起こる可能性があります。

老犬が寝たきりになると起こりうるトラブル

・床ずれができる

・体を清潔に保ちにくくなる

・運動機能・感覚機能が衰える

 

4-1.床ずれができる

長時間同じ姿勢で寝ていると、床と接触している皮膚に体重がかかって圧迫され、その部分の血流が悪くなって皮膚が壊死する「床ずれ」が起こる可能性があります。

床ずれは軽度であれば毛が折れる・薄くなる、皮膚が赤くなる程度です。しかし重度になると水ぶくれができるうえ皮膚に穴が開いて筋肉や骨が露出し、最悪の場合は感染症を引き起こします。

床ずれはあっという間に進行してしまうだけでなく、一度できてしまうと治るまでに時間がかかり再発もしやすいため、定期的な寝返りのサポートが必須です。

 

4-2.体を清潔に保ちにくくなる

寝たきりの状態になると、入浴やトイレでの排泄が難しくなり、皮膚や被毛に汚れが蓄積しやすくなります。

汚れが溜まると細菌が繁殖し、感染症のリスクが高まります。そのため、定期的に体を拭いて清潔を保つ衛生管理が欠かせません。

 

4-3.運動機能・感覚機能が衰える

寝たきりになると、筋肉量が低下し、体中の関節が徐々に固くなってしまいます。また基本的にずっと同じ場所にいるため刺激が減り、脳神経細胞が衰えて認知症のリスクが高まることがあります。

さらに、日光を浴びる機会が減ると体内時計が狂って昼夜逆転し、夜鳴きが起こる可能性もあります。これらを防ぐためには、マッサージやストレッチなど無理のない運動を取り入れる、頻繁に声かけを行う、日光の当たる場所へ移動させる、などを通じて刺激を与えてあげましょう。

 

5.愛犬が立てなくなるのを予防する方法

愛犬が立てなくなるのを防ぐためには、日頃からの適度な運動がとても重要です。特に散歩は、筋力低下による立ち上がれなくなるリスクを軽減するだけでなく、感覚機能の維持にもつながります。

しかし、老犬には無理な運動は禁物ですので、適切な配慮が必要です。散歩の前にはウォーミングアップとして、軽いストレッチや室内での歩行を行い、体をほぐすと良いでしょう。

また、実際の散歩では、愛犬の体調に合わせて散歩時間やコースを調整することが大切です。天候にも注意を払い、暑い日にはこまめな水分補給を行い、寒い日には防寒着を着せて体を冷やさないように気をつけましょう。

こうした適度な運動と日々の体調管理を組み合わせることで、愛犬が元気に動き続けられるとともに、立てなくなるリスクをしっかりとケアすることができます。

 

6.立てなくなるだけじゃない!老犬に起こりうる体調変化

犬は年を重ねると、立てなくなる以外にもさまざまな体調不良が起こりやすくなります。

老犬に起こりうる体調不良

1.聴力・視力が悪くなる

2.認知症を発症する

3.肥満になる

4.下痢・嘔吐をする

5.おもらしをする

6.腎臓病になる

7.歯周病になる

8.内分泌疾患になる

体調不良について1つずつ解説するので、愛犬の健康維持に役立ててください。

 

6-1.聴力・視力が悪くなる

老犬になると、目や耳の組織が衰えることで、視覚や聴覚の障害が発生しやすくなります。

特に、白内障は老犬によく見られる疾患です。白内障が進行すると、水晶体が白く濁り、視力が部分的に、あるいは完全に失われるおそれがあります。しかし、視力を失っても、嗅覚を頼りに日常生活を送ることができる犬もいます。

 

6-2.認知症を発症する

人間と同様、犬も年を重ねると、認知症を発症する可能性があります。

犬の認知症は、11歳から12歳を過ぎる頃から発症しやすいとされており、脳の機能が低下することでさまざまな症状が現れます。具体的な症状としては、混乱して方向感覚を失う、無意味に吠える、おもらしをするなどが挙げられます。

犬の認知症について詳しく知りたい方は、コラム「老犬が認知症になったら?吠える・回るなどの症状一覧と症状ごとの対処法を解説」をご覧ください。

 

6-3.肥満になる

加齢によって新陳代謝が低下すると、体重が増えやすくなり、肥満になりやすくなります。

肥満になると、糖尿病や心臓病、呼吸器系の疾患が発症しやすくなるほか、関節への負担も増加し、さらなる健康リスクが高まります。そのため、飼い主による適切な体重管理が必要不可欠です。

 

6-4.下痢・嘔吐をする

加齢に伴い、消化吸収能力が低下すると、消化不良を起こしやすくなり、下痢や嘔吐の原因になることがあります。

こうした症状を防ぐためには、愛犬の消化能力に合わせた食事内容に調整することが大切です。消化に優しい食事を与えることで、下痢や嘔吐のリスクを減少させることが可能です。

 

6-5.おもらしをする

加齢によって膀胱を制御している筋肉が衰えてしまい、尿をコントロールする力が弱くなっておもらしをする場合があります。

おもらしは膀胱を制御している筋力の低下以外にも、認知症や尿路感染症などの病気の兆候である場合もあるため、頻繁に症状が見られる場合は、早めにかかりつけの獣医師に相談することが大切です。

 

6-6.腎臓病になる

腎臓の機能が衰え、腎臓病を発症しやすくなるのも老犬の特徴です。

腎臓病を発症すると、体重減少や脱水、貧血、嘔吐、下痢・便秘などの症状が現れる場合があります。医薬品の副作用が原因で腎臓病になる場合もあるため、動物病院で適切な診断を受け、治療法を相談することをおすすめします。

 

6-7.歯周病になる

老化により歯茎が衰えると、歯茎の隙間に歯垢や歯石が溜まりやすくなります。溜まった汚れが原因で細菌に感染すると、歯周病のリスクが高まります。

歯周病の兆候としては、口臭の悪化や歯がグラグラすることが挙げられます。重症化すると、顎の骨が溶けてしまうこともあるため、早期発見が重要です。兆候を見逃さないよう、日頃から口腔ケアをしっかり行ってください。

 

6-8.内分泌疾患になる

犬は年齢を重ねると、内分泌系の衰えにより甲状腺ホルモンの分泌が減少する甲状腺機能低下症や、副腎皮質ホルモンが過剰になる副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)を発症しやすくなります。

甲状腺機能低下症では、活動の低下や毛並みの悪化、体重の増加、徐脈などの症状が見られます。副腎皮質機能亢進症の症状は、水を飲む量が増える、お腹が膨らむ、皮膚のトラブルが発生するなどの症状が現れることがあります。

 

7.犬の体調不良のサイン一覧

犬が体調不良になるときには、体のあちこちにサイン(病気の初期症状)が現れます。飼い主として、こうしたサインを見逃さないことが重要です。

最後に、体の部位別に体調不良のサインと考えられる主な病気をまとめました。万が一の際のチェックリストとしてご活用ください。

体の部位 体調不良のサイン 考えられる主な病気
・耳から悪臭がする
・耳たぶが腫れている
・犬が耳を気にする、痒がる、痛がる
・耳から出血している
・耳が聞こえていない様子がみられる
・黒や黄色の耳垢が多く出ている
・外耳炎
・内耳炎
・聴覚障害
・充血している(目が赤い)
・目を掻いたりこすったりしている
・涙やけができている
・目やにの量が多い
・目をひどく痛がるそぶりをしている
・結膜炎
・角膜炎
・流涙症
・白内障
・緑内障
・口が臭く、歯石が付着している
・歯茎が赤い・出血している
・口の周囲をいつも以上に掻いている
・よだれが出るのに食べない
・口に食べ物を入れても飲み込めない
・よだれが出て、痙攣している
・疲れやすく、歯茎の色が白っぽい
・歯茎や舌が青白い・黄色い
・歯周病
・歯肉炎
・口内炎
・舌炎
・腫瘍
・チアノーゼ
・呼吸器系の病気
・黄疸
・扁桃腺
・狂犬病
・ジステンパー
・流涎症
・頻繁にくしゃみ・咳をする
・鼻水に色があり、粘りがある
・鼻水に血が混じっている
・息苦しそうにしている
・鼻が変形している
・感染症
・呼吸器系の病気
・アレルギー
・鼻腔内異物
・腫瘍
・歯の病気
呼吸 ・運動した後ではないのに息が荒い
・興奮していないのに息が荒い
・体温が高くないのに息が荒い
・口や唇の色がピンク以外の色になっている
・ガーガー、ゼーゼーと音を立てて呼吸している
・震えている
・鼻や咽頭の病気
・感染症
・気管・肺などの病気
・心臓病
皮膚 ・皮膚が黄色っぽくなっている
・皮膚が青紫色か赤紫色になっている
・皮下出血
・黄疸
・黄疸

これらの体調不良のサインに注意し、早期発見と適切な対処を心がけましょう。また、体調不良のサインを見逃さないためにも、定期的な健康チェックや検診をおすすめします。

 

まとめ|愛犬の体調変化に気づき、早期対応で健康を守ろう

本記事では、犬が立てなくなる原因や対処法、予防策、老犬に起こりやすい体調変化、またそれに伴うサインを詳しく解説しました。

愛犬が立てなくなった場合は、早急に動物病院を受診し、適切な対応を取ることが重要です。さらに、普段から適度な運動や食事管理を心がけ、定期的な健康チェックを行うことで、老犬の健康を維持することができます。

犬は体調不良を隠すことがあるため、日々の様子を注意深く観察し、異変に早く気づくことが大切です。今回紹介した体調不良のサインを参考に、愛犬の体調変化を見逃さず、早期対応を心がけてください。

愛犬が長く健康で快適な生活を送れるよう、適切なケアを続けていきましょう。

※事業再構築補助金により作成

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【記事執筆者】ACCAPI®×SOZO®編集部|ペットがいつまでも健康で、家族みんなの毎日が豊かになるように。本コラムでは、愛犬の健康や散歩に関する情報をお届けしています。